人材開発システムの構築

常務取締役 山中宏美

最近中堅・中小企業からの「人材開発システムの構築」がしたいとの要望が増えている。中長期の経営計画はあるが「人材開発」に関する計画がないというわけである。中長期であろうと短期の計画であろうと、必ず課題として入るのが「人材育成」というテーマである。しかし、その内容まで具体的に体系化・計画化しているケースは少ない。 特に中長期計画ではその傾向が強く、その内容が明確にされていないことが多い。この考えてみると経営計画の中では、一番重要でなおかつ時間がかかると思われるテーマが、体系的にまとめられていなくて、単年度発想で実施されることはおかしなことである。この様な背景から冒頭のような要望が出てきている。

さて、この「人材開発システム構築」であるが経営全般からみれば、「トータル人事システム」が理論的バックボーンでなくてはならない。
経営理念の人的側面をクローズアップした「人事理念」に基づき、そこから展開する「人材処遇システム」、「人材評価システム」、「人材情報システム」、そして「人材開発システム」としての位置づけである。「人材処遇」・「人材評価」のシステムはあるが、「人材情報」・「人材開発」がシステム化されたところが少ないということである。

それでは、この「人材開発システム」を構成するものはどのようなものになるか。そのベースになるのが全体を表現した「人材開発体系」である。人事理念と経営計画内の人材育成計画との結びつきとチェック&フォローを示した体系である。この体系をさらに教育実施面の体系である「能力開発体系」に落とし込む。 「能力開発体系」は階層別・等級別もしくは経験年数別を縦軸にする。横軸には、能力開発方法である「OJT」、「Off-JT」、「自己啓発」、「外部研修」が入る。「Off-JT」はさらに「階層別(または資格別・経験年数別)」と「職務別」に仕分けされる。この中で、「個人別OJT計画書」に基づく「OJT」が中心的な役割を果たす。
このように人材開発システムも、体系的に計画的に積み上げられてこそ、中長期経営計画の一環であるといえる。

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