e-ラーニング実証実験報告

マーケティング本部 越山修

弊社の経営シミュレーションが、東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻での「e-ラーニング実証実験」に採択されました。
本報告では、実験の概要や結果、アンケートなどをもとに、経営教育しての経営シミュレーションの有効性や活用方法を考察いたします。

実験概要

  • 実験草案
  • 東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻 寺野隆雄教授
  • 目的
  • 企業の人材の育成に有効である経営シミュレーションとe-ラーニングの親和性を検証するため、被験者を一同に集めて経営シミュレーションを実施し、チーム内でのコミュニケーションや理解度を図る。
  • 開催場所
  • 東京工業大学大学院 すずかけ台キャンパス
  • 被験者
  • 東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻 学生7名
    (博士前期課程5名、博士後期課程2名)
  • スケジュール
  • スケジュール
  • 講義風景
  • 講義風景

経営シミュレーション結果

  • 売上高
  • 売上高
  • 経常利益
  • 経常利益
  • フリーキャッシュフロー
  • フリーキャッシュフロー
  • 経営成績の比較(1社)
  • 経営成績の比較(1社)
  • 経営成績の比較(2社)
  • 経営成績の比較(2社)
  • 経営成績の比較(3社)
  • 経営成績の比較(3社)

総括

※定量評価(1:不満、3:どちらともいえない、5:満足)

  • 1.経営シミュレーションについて
    • 1-a.興味を持って積極的に取り組めた 【平均 4.7】
    • 1-a.興味を持って積極的に取り組めた
    • 1-b.社会に出て必要な知識と感じる 【平均 4.1】
    • 1-b.社会に出て必要な知識だと感じる
    • 1-c.大学や大学院の授業にも導入してほしい 【平均 3.9】
    • 1-c.大学や大学院の授業にも導入してほしい
  • 2.学習環境について
    • 2-a.PC操作や画面操作はやり易かった 【平均 3.1】
    • 2-a.PCの操作や画面操作はやり易かった
    • 2-b.フェイス・トゥー・フェイスのコミュニケーションが重要だと感じる 【平均 4.1】
    • 2-b.フェイス・トゥー・フェイスのコミュニケーションが重要だと感じる
    • 2-c.集合形式で実施するよりもe-ラーニングで十分だと思う 【平均 1.9】
    • 2-c.集合形式で実施するよりもe-ラーニングで十分だと思う
  • 3.講師について
    • 3-a.参加者の理解に気を配っていた 【平均 4.3】
    • 3-a.参加者の理解に気を配っていた
    • 3-b.質問の回答や解説が的確であった 【平均 4.6】
    • 3-b.質問の回答や解説が的確であった
    • 3-c.講師として専門家だと感じる 【平均 4.6】
    • 3-c.講師として専門家だと感じる
  • 4.教材について
    • 4-a.ルールには違和感なく対応できた 【平均 3.7】
    • 4-a.ルールには違和感なく対応できた
    • 4-b.テキストの内容は十分だった 【平均 4.0】
    • 4-b.テキストの内容は十分だった
    • 4-c.1日間では情報量が多すぎると感じた 【平均 3.9】
    • 4-c.1日間では情報量が多すぎると感じた
  • 5.総括
    • 5-a.総括として、経営シミュレーションを用いた学習の満足度は? 【平均 4.0】
    • 5-a.総括として、経営シミュレーションを用いた学習の満足度は?
  • 自由回答
    • ・知識を活用し積極的に取り組めた。
    • ・製品が不明というのが具体的にやりづらい点では?と思った。今考えるとゲーム前の知識がもっと欲しかった。2回目、3回目のゲームが本当の勝負になると思われる。
    • ・1日はちょっと時間的に足りなかった気がします。
    • ・財務状況の見方を前もって知っていれば、もっとやり易い気がします。
    • ・経営シミュレーションのコツが掴めた気がする。
    • ・数字への感度を高めるには良い。
    • ・業界ごとに違うバージョンがあると良い。
    • ・数字だけいじるにはちょっと無機質な気がする。
    • ・もう少し机上で学んでから実践できれば非常に学習効果が高いと感じた。
    • ・製造原価だけでなく、販管費も入れた原価も捉えて提示した方が分り易かった。
    • ・せっかく色々と見るポイントがあるのに、時間がなくて見る事ができなかった。内容は面白かったがそれを十分に楽しむ事もできず、十分な学習ができたとは思えない。
  • 講師所感
    • ・1日間という短い時間のため、急ぎ足で進んだ感は否めない。結果、午前はルールや操作の理解に苦しんでいる様子が見受けられたが、午後に入ると徐々に理解が進み、積極的な議論が交わされるようになった。
    • ・講師への質問は、午前中はルールについて、午後は結果についての質問が多かった。
    • ・ラウンドが進みに従い、それぞれのチームで白熱した議論が展開された。
  • 改善点
    • ・1日間での実験のため進行が早かった。講義や解説に時間をかけることで、プレイヤーの理解が深まると推察される。
    • ・学生によって会計やマーケティングなど経営に関する知識にばらつきがあった。ラウンド間に経営に関する講義を入れることで理論と実践が結びつくと思われる。

考察

経営シミュレーションとe-ラーニングの親和性を検証するため、被験者を一同に集めた集合研修形式で実施した。アンケートの結果からも学習の満足度が5段階中4.0と好意的な評価で ある。一方、学習環境について。「フェース・トゥー・フェイスのコミュニケーションが重要」に4.1、「集合研修で実施するよりe-ラーニングで十分」に1.9であった。これは経営シミュレーションでは、集合形式でのコミュニケーションが重要であることを伺わせる結果となった。
経営シミュレーションを用いて、e-ラーニングとの効果的な学習を設計するには、会計やマーケティングなどの経営学の知識習得や、経営シミュレーションのルール説明など事前知識を補完する目的で、e-ラーニングを使用する方法が考えられる。またゲーム後のディブリーフィングは知識定着に有効であるため、集合形式で実施することが望ましい。

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