今の研修ニーズ

マーケティング本部 石川友博

はじめに

本稿では、中堅規模で成長過程にある企業の、今の研修ニーズについて概括します。
日々、中堅規模で成長過程にある企業の人材育成担当者の方と、今後の育成施策について議論させて頂いております。その議論をふりかえれば、こういった企業が現在どのような研修ニーズを持っているのか、大きな方向性を見出すことができます。それは、大きく分けて以下の3つに要約できると考えています。

次世代経営者育成に対する高い関心

1つは、次世代経営者育成というテーマに関心が高いということです。この背景には、人口ピラミッドの偏りという社内事情から、経営者候補を育成しないと人材が枯渇するという危機意識が各社とも高いことがまずひとつあります。それに加えて、「経営者への道筋が外から見える魅力的な会社」にしたいという意図もあります。特に、意欲ある若い人材の確保は少子化のなかで大きなテーマですから、この「外からの見え方を意識しての次世代育成の整備」という事情はかなり大きなものとなっています。

若手の研修を重視する傾向

2つめの特徴は、若手の研修が重視されているということです。これは、若手が周囲に相談しにくく不満を聴いてもらえず、モチベーションが低下しているのではないかという懸念が根底にあります。今多くの企業が、「失われた10年期の採用控え」の影響で、若手と管理職をつなぐ中堅社員が手薄になっています。そのため若手のモチベーション対策として、研修を充実させるというアプローチを採る企業が増えています。

「ボトムアップ型のコミュニケーション」への期待

3つめの特徴は、「ボトムアップ型のコミュニケーション」を活性化したいという思いが強いということです。これは、具体的には、コーチングや傾聴といったテーマに対する高い関心から垣間見ることができます。実施の仕方にも因るのでしょうが、どの会社で研修を実施する場合でも、コーチングや傾聴は依然として非常に高い満足を頂けることが多く、実施側からすれば非常に人気のあるキラーコンテンツとなっています。まだまだコーチングや傾聴といった切り口で掘り起こせる部分は多く、育成担当者もそう期待する傾向は依然として根強いものがあります。

以上の3つは、相互に関連しており、必ずしもMECEな切り口ではありませんが、中堅規模で成長過程にある企業の研修ニーズは、大体以上の3つに集約されているのが現状だと感じています。

エム・イー・エルとしての商品対応

エム・イー・エルでも、この流れに対応した商品の充実を進めております。その中で、次世代経営者育成ニーズに対応した「経営塾・トップマネジメント講座」、コーチングや傾聴といったヒューマンスキルの重要テーマを凝縮した「リーダーのための指導・育成・コーチング講座」、戦略の考え方を社内に浸透させ、社員の目線合わせに有効な「シナリオづくりのためのワクワク戦略塾」は、多くの中堅だけでなく、業界を代表するグローバル・カンパニーにもご導入を頂いております。

いずれの研修も、単なる情報提供ではなく、自社をケースとして課題や対策をアウトプットするのが展開の基本形です。そういった情報提供や討議といった、いわゆる「研修コンテンツ」に、自社の方針や会社として伝えたいことを載せていくスタイルで、能力開発だけでなく、研修を通じたメンバーのベクトル合わせを図っていくよう展開します。そうった展開方法について、導入を頂いている企業から好評を頂いております。

今後も本稿で解説した研修ニーズをふまえたラインアップの充実に取組み、ワンストップで人材育成をサポートできる体制を強化して参ります。

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