若年営業パーソン対象 売れる営業の取り組み方2
徹底検証!「営業活動の極意は“自分を売ること”」は本当か?

マーケティング本部 楠祐紀

前回「若年営業パーソン対象 売れる営業の取り組み方」については、営業活動の心構えと基本的な展開ステップについてまとめました。
今回はパート2として、一般的な営業の極意として知られる「自分を売ること」について考察したいと思います。

お客様のホンネ
「“私のため”に何をしてくれるか聞きたい!宣伝文句は聞きたくない!」

若年営業パーソンの能力開発は、お客様との関係をなくして不可能です。皆さんの会社でも、様々な営業活動の準備や教育に取組まれていることと思いますが、彼らの一番の成長機会は、新規・既存を問わず、お客様とのビジネスの過程で生まれるといって過言ではありません。
近頃、クライアント先や私自身の営業活動先で、よくきかれる営業担当者への不満に以下のものが挙げられます。

  • 見積りや提案を受けたのはいいが、一体何の話をしたいのか不鮮明。
    (営業シナリオの欠如)
  • 自社のセールス・宣伝文句に終始しており、聞くに堪えない。
    (スパム・迷惑メール扱い)
  • 伝えた要望・質問事項に的確に応えてくれない、解釈がずれている。
    (傾聴力が未熟)

ほんの一例に過ぎませんが、日々の営業活動に行き詰まりを感じている方々は、これらに思い当たる節があるのではないでしょうか。これは、『当期の営業目標を必ず達成させなければならない』、という至上命題に囚われるあまり、営業担当自身のウォンツとお客様のニーズを取り違えていることが原因です。「客商売の本質」を見誤ってしまっており、今すぐ改める事が求められます。
お客様は元来「わがまま」で、「自分にとって、どの様なメリットがあるか」にしか興味が無いものです。基本的な話になりますが、お客様の立場で考えた結果、一番効果的な提案をすることが若年営業パーソンの商談成立の近道となります。

結論!「自分を売る」とは高い問題解決力でお客様の納得を得ることにある

今回のメインテーマになりますが、経験豊富な先輩方の発言に、「自分を売れ」という言葉があります。これはどういう意味があるのでしょうか?
学生時代からパソコン操作が必須科目のデジタル世代からしてみれば、抽象的な精神論、または時代や環境に恵まれていた人間の発言として耳に届かないでしょう。しかし、年功が再び注目を集める中、その言葉は若年営業パーソンに必ず意味があります。分かりやすい言葉で置き換えるとするならば、「自分を売る」ということは、

  • (1)「わがまま」で、「自分のメリットに高い関心を持つ」お客様に
  • (2)自社の提供商品・サービスのメリットで「お客様の問題解決」を熱心にサポートし
  • (3)お客様との「合意と納得」の結果、商談が成立することで
  • (4)営業パーソンはお客様に「全人格を肯定された」と認識し、承認欲求が満たされる

ということです。最終的な結果として、お客様に自分の全人格を認めてもらえたという達成感や満足度が、営業活動のKSF(成功要因)になっています。この事が「自分を売れ」という先輩方の発言の本質と言えます。

営業テクニックや営業ツールはあくまで道具であり、
関係づくりのきっかけに過ぎない

自分を売ることが営業活動のKSFであっても、私はロールプレイングや応酬話法などによる営業テクニックの開発、またカラフルな写真や導入事例の豊富な提案書など営業ツールを決して否定するつもりはありません。あくまでお客様との関係づくりをする上のきっかけに過ぎず、またお客様も作成に時間とお金を掛けた資料を求めているわけではありません。お客様は、それを使って熱心に対応する「あなた自身」と、要望事項にしっかりと応える「話の中身」を重視しています。目的と手段を混同しないことが肝要です。

マーケティング戦略策定のすすめ
-お客様にしっかりとお応えするために-

「自分を売る事ができるスタープレーヤー」を、組織的に輩出する仕組みを作るためには、マーケティング戦略を策定することが解決策となります。マーケティング戦略では、自社の事業領域を市場細分化(セグメンテーション)、標的市場の選定(ターゲティング)、市場地位の決定(ポジショニング)というプロセスを通じ決定し、その上でマーケティングの展開を決定します。この中で、お客様から見た自社の価値を明確にして、こちらからお客様を選択します。
このことで若年営業パーソンの商談成立による育成を仕組み化し、効果的に営業活動を経て、企業全体の業績アップをはかることが可能となります。

若年営業パーソン対象 売れる営業の取り組み方

営業・マーケティング戦略

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