今、改めて
「マネジメントとリーダーシップとは何か」を問う
株式会社MELコンサルティング 代表取締役社長 安田芳樹
極めて日常的に組織活動の中で使われている言葉、その代表格が「マネジメント」と「リーダーシップ」です。
しかし、この言葉はややもすると混同して扱われているように思われます。大きな変革が企業に求められている中で、マネジメントとリーダーシップの本質を改めて確認してみたいと思います。
マネジメントの本質
企業の変革が進まないのはマネジメント上の問題でしょうか?
勿論、マネジメントの持つ機能が変革に関わる部分もありますが、マネジメントとは本来、組織に秩序を生み出すことがその役割で、変革そのものに深くは関わりません。なぜなら、マネジメントはある意味官僚的で、慣行化しやすい性質を持っています。一つの企業文化に慣れ切ったリーダーは、現在のスタイルややり方を過大評価し、新規性の高いことを受け入れ学ぼうとする傾向が薄れるのです。また、官僚主義的な一面は、変化をしようとするものを包み、時として隠してしまいます。変革期におけるマネジメントは、新たな課題への挑戦に向けて、組織内に最適な経営システムを創り、複雑な業務や人間関係をスムーズに保つためのシクミと捉えることが妥当です。
リーダーシップの本質
最適秩序をつくる仕組みということでマネジメントを「静」と捉えるなら、リーダーシップは「動」のイメージです。リーダーシップは、組織に根づく惰性の根源を絶ち、メンバーの行動のあり方が変容するようにモチベートし、企業に新しい文化や習慣をもたらすエネルギーと言えます。それゆえ、変革時でのリーダーシップ不足は推進力に欠け、難局を乗り切るパワーとはなり得ないのです。
今、リーダーに必要なマネジメント力とは
企業を取り巻く環境は大きく変化し、多くの企業で「リーダーのマネジメント力強化」が課題になっています。社員数の削減、労働時間の増加、コンプライアンスの強化、指導・育成の負担増、成果主義など枚挙に暇がありません。こうした中でリーダーに求められる重点課題は、
1.低下するメンバーのモチベーション(自身も含め)をどう高めるか
2.業務量が増加する中、いかにメンバーの指導・育成に取り組むか
の2つと言ってよいでしょう。
上記の捉え方に照らして厳密に言うならば、これはマネジメントの課題ではなく、リーダーシップの課題です。組織の持てる潜在力を引き出し、変化に柔軟に対応していち早く変革につなげていくためには、結局は「リーダーシップ力」に帰結し、これが「マネジメント3分、リーダーシップ7分」の原則に結びつく所以と言えるのです。
マネジメントの役割 | リーダーシップの役割 |
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マネジメントは、組織が効率的に機能するために、一定の秩序をもたらす役割を持つ。 | 今後の変化のあり方を示し、変化する状況の中でヒトと組織をリードしていくパワーを持つ。 |
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