今こそ、自社のPR!「魅力ある“メッセージ”」の提供

理事 シニアコンサルタント 太田義則

日頃から多くの中小企業の経営者と話す機会がありますが、業績が低迷している企業に共通している課題を感じています。「売れない」「お客様が来ない」と言いながら、どれだけPRをしているかと聞いてみると、ほとんどの場合、何もやっていないのです。
「我が社はこれができる!」という良いものを持っていながら、自社の技術、得意技、セールスポイントを、世に知らせていないのです。なぜ、もっとあらゆる機会を通して、自社のPRをしないのでしょうか?
これは、まさに、マーケティング的な視点の欠落と言えるでしょう。ターゲットとする市場に対して、定期的に情報発信なくして、中小・小規模企業(店舗)をお客様が知る余地はなく、また知るすべもありません。
そこで、今回は、マーケティングの問題を解決された事例をご紹介し、「自社のPRとして、魅力あるメッセージの伝え方」について考察したいと思います。

梱包資材メーカーの事例に学ぶ

著者がよく知る梱包資材メーカーでは、自社の生き残りをかけ、2010年4月“中期経営計画”を策定されました。
その戦略課題の一項目に、“自社を積極的にPRし新規の顧客獲得”を掲げ、その手段として、ホームページのリニューアル、パブリシティを中心とした広告宣伝を可能な範囲で投資されました。
また、他社との差別化要因として、新鋭設備の導入によるコスト競争力の強化、印刷技術のスキル向上、生産管理の充実などにより、どこにも負けない高品質・納期遅延ゼロの生産体制を確立されました。
その結果、自社ホームページより大手上場企業から注文が舞い込みました。社長をはじめ、大変な驚きでした。
「なぜ弊社に発注されたのですか?」と、お客様にお聞きすると、「従来取引の納入業者が、品質基準、ロット数、受注単価に対応できなかったことがきっかけでした。そこで、発注先は、大企業の選択をやめ、新たに中小企業に発注してみてはどうだろう、中小企業には我々の想像以上に期待に応えられる企業があるのではないか、と考えました。そこで、品質(強度)、価格、納期対応など、いくつかの発注先選択基準を設定し、その基準をもとにインターネットから検索し、御社を選ばせていただきました」とのことでした。

どこにこのようなビッグチャンスがあるか分かりません。しかし、何もしない会社にはチャンスはやってきません。積極的に行動した会社、チャレンジした会社にこそチャンスが訪れるのです。

広告メッセージの一例

さて、各企業・店舗はどのようなメッセージをお客様に提供しているでしょうか。メッセージコピーを街中広告や、電車内広告から眺め、その一例をご紹介させていただきます。

  • 某家電店の上り旗に
    • ・LEDあかり維新2010「替援隊」/○○○家電
  • 某会計事務所の広告塔に
    • ・「?」から「!」/○○○会計事務所
  • 某会員制転職会社の電車内広告に
    • ・「年収1000万円以上に特化した会員制転職会社」/○○○会社
  • 某電気工事会社の電車内広告に
    • ・電気工事お助けマン110番
    • ・電気工事のことなら“365日24時間”あなたのパートナー

これらのメッセージのポイントは、1.分かりやすい表現、2.簡潔明瞭、3.覚えやすい、の3つではないでしょうか。当然、メッセージの内容を裏付ける確固たる情報・技術・商品・サービスがあってこそ成し得る技です。

“見せる、魅せる”の視点でPR

「お店」には「SHOP」と「STORE」の2種類があると言われています。前者の「SHOP」は職人を示し、その意味は"見せる、魅せる"であり、「来店させる、来させる、欲しがらせる」の意味をも指すといわれています。後者の「STORE」は「棚」のストックがなまったもの言われています。
今や業種を問わず、「SHOP」の精神で、「ああ、あの技術がすばらしい○○屋さんね」と言われるように、いかに自社をお客様に"見せる、魅せる"の視点で、メッセージを送り、世に問うかが大切な時代ではないでしょうか。

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