利益目標達成のために今なすべきこと
理事 シニアコンサルタント 太田義則
はじめに
昨今の激変する環境下、中小企業経営者の皆様から、『儲からない』『利益が出ない』『利益確保が難しい』といった言葉をよく耳にします。その際、私はそうおっしゃる経営者の方々に、2つの質問をさせていただきます。「なぜ、利益が出ないのですか。その要因は何ですか」「利益が出た時は、なぜ利益は出たのですか」と。すると、経営者の方々からは概ね同じような答えが返ってきます。
- 下請け製造業関係者の場合
- 「親会社の受注量の増減と厳しいコスト低減要求に左右されてしまう」
- 小売業関係者の場合
- 「長引くデフレ経済から価格競争にさらされ、粗利益額ならびに粗利益率が年々低下しているのが現状である」
各企業には個別事情があり、すべてに当てはまるとは言えませんが、この現状から、利益を出すための方向づけの一端を考えたいと思います。
利益を生み出す“経営のメカニズム”を組織全体に浸透させる
強い会社の特長の一つとして、「全員が経営者意識をもち、利益確保に責任ある行動をとっている」があります。つまり、自社が利益確保できる"経営のメカニズム"はどのようになっているか、そのシクミ・シカケを全社員に理解させているのです。そうすることによって、担当部門では、『現場社員はどのような取り組みが必要なのか』が理解され、“考える社員”が醸成されます。
“経営計画書”における言葉の定義と内容の確認すり合わせ
全社員に配布されているのが「経営計画書」であり、社内には「経営理念」「行動指針」等々が掲示されています。しかし、実際にはそれらに記載されている内容がどのくらい組織のすみずみまで浸透しているでしょうか。
よくあるケースですが、経営理念に「お客様第一」という言葉があります。
この場合、当社にとっての「お客様」とはいったい誰を指すのでしょうか?エンドユーザーでしょうか、それとも取引担当窓口でしょうか?また、「第一」とはいったいどのような行動・判断が求められるのでしょうか?その行動基準、判断基準とはどういうものでしょうか?言語明瞭・意味不明瞭では、価値はありません。それぞれの翻訳と合意が必要です。
各社とも積極的に社員研修(ひとづくり)に取り組んでおられますが、最も重要視すべきことは、自社の「経営計画書」の内容解説であり、全社員との確認合意、すなわちすり合わせです。
利益確保に向け「基本動作の型」を決める
年度における利益目標の達成は、12ヶ月の利益の結果であり、上・下期の6ヶ月単位の結果です。そしてそれは、四半期ごとの3ヶ月の結果であり、毎月の結果です。つまり、利益目標の達成は毎日の行動の結果なのです。そのための管理行動をどのようにすればよいのか、経営メカニズムから、利益確保に向け、求められる「基本動作」のあり方が結果を左右することは確かです。
まずは自社における「基本動作の型」を決めることです。その徹底が利益目標の達成へと繋がります。以下に、「基本動作の型」の一例をご紹介します。このような行動重視のスタイルの実践には実情に応じたガイドラインを作成することが有効です。
- 予実績・進捗確認の見える化
- 年度→上・下期→四半期→月次→週間→日時の連鎖
- 進捗会議の定期開催と進捗管理
- 終礼重視(今日の振り返り・明日の予定)
利益目標達成のための方法は様々ですが、今回ご紹介したような基本的な内容の見直しや再確認を、皆様の会社でも是非実践してみてください。